平成29年(2017)の日本の死亡者数は134万人(出生数は94万人)でした。2040年には168万人(出生数予測は74万人)でピークに達すると予測されています。このような「多死社会」で叫ばれる墓不足。そもそも墓地はどのように作られるのか、簡単にまとめてみました。
法 律
墓地等を新たに経営(設置)しようとする場合、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)に基づき、都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可が必要になります。
墓地、埋葬等に関する法律第10条1項
墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けなければならない。
経営の主体について
基本的には、下記の3つのどれかと各地方自治体の条例に定められています。
- 地方公共団体
- 宗教法人で、当該自治体内に事務所を有するもの
(事務所開設から10年以上経過していることを要件にする自治体もあります) - 墓地等の経営を目的に設立された公益社団法人又は公益財団法人で、当該自治体内に事務所を有するもの
墓地の設置区域
墓地の設置場所としては、下記の区域又は地区には新たに設置できないようにしている自治体が多いようです。
- 市街化区域
- 用途地域が定められた区域
- 近郊緑地保全区域
- 特別緑地保全地区
- 保安林
- 農用地区域
- 市街地整備を予定している区域
但し、上記区域又は地区内にある既存墓地やその拡張、宗教法人がその境内地又は隣接地に新設する墓地は適用外となっています。※都心でよく見る納骨堂は宗教法人の境内地に建てられています!
墓地の設置基準
墓地等を設置する場合、下記のような基準が定められています。
- 地方公共団体の場合を除き、申請者が所有し、原則、所有権以外の権利が存しない土地
- 墓地等の設置区域の境界線と学校、病院、人家等との水平距離が定める距離以上あること
- 飲料水を汚染するおそれのない土地であること
墓地 50メートル(死体を埋葬する場合は100メートル)
納骨堂 50メートル
火葬場 300メートル
また、上記に加え、「緑地の確保、駐車場、ゴミの集積設備、トイレ」など一定の施設の設置を定める自治体もあります。
新規申請の流れ
① 墓地開発について自治体への事前相談
② 墓地等経営計画協議書を提出(計画図面や経営主体の財務内容が確認できるものなど)
③ 計画の概要を記載した標識を予定地に設置し、標識設置届を提出
④ 近隣住民等に対して説明会で計画の概要を説明
⑤ 説明会開催状況報告書を提出
⑥ 近隣住民等との協議
⑦ 協議結果報告書を提出
⑧ 墓地等経営許可申請書を提出
まとめ
「多死社会」によって墓地に多くの需要が予測され、新しい墓地を作らなければなりませんが、その需要の多くが都市部に一極集中しています。そして、都市部における新規墓地の設置は、緑地減少などの環境問題や近隣住民との協議の難しさから、事実上困難な状態です。
また、逆に地方では「無縁墓」(承継者・管理者のいないお墓)が増加しており、人々の死生観の変化や“「家」なき時代”に柔軟に対応した墓地(合祀墓)や納骨堂、そして散骨や手元供養などの新たな供養の方法が求められています。
行政書士しげなが事務所では、葬儀業者様に加え、納骨堂や石材店様ならびに散骨、手元供養の業者様とお付き合いがありますので、安心して「墓じまい」や「新たなお墓の購入のお手伝い」などをお任せいただけます。
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